接見禁止(せっけんきんし)とは、逮捕によって身柄拘束されている被疑者や被告人が外部の人との接見(面会)を禁止されることを言います。
まず、逮捕されてしまうと、逮捕後72時間以内は原則的に家族の方でも接見をすることができません。さらに、その後も接見を禁止すべきだと判断されてしまえば、接見禁止処分を受け接見ができないままになってしまいます。
今回は、どのようなケースで接見禁止処分を受け、どのようにすれば面会することができるのかをご説明していきたいと思います。
この記事でわかること |
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接見禁止とは?接見禁止になる理由
冒頭でもお伝えしたように、接見禁止とは、逮捕されて身柄拘束を受けている被疑者(被告人)との接見が禁止される処分です。
接見禁止されてしまうと、たとえご家族の方であっても、原則的に接見をすることができなくなります。
接見禁止で制限されること
接見禁止処分を受けると、その名の通り接見(面会)をすることができなくなります。接見できなくなる対象の人物は、外部の人となるため、たとえ被疑者のご家族の方であっても接見禁止中に接見をすることは原則的にできなくなります。
後からご説明しますが、接見禁止中でも弁護士であれば唯一接見をすることができます。接見禁止処分を受けたけど、どうしても状況を確認したいなどの事情がある方は、弁護士に接見を依頼することも考えましょう。
接見禁止でも差し入れはできる
一方で、接見禁止中でも差し入れをすることはできます。接見禁止処分を受けるような事件ですので、身柄拘束が長引くことも考えられます。
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などは差し入れすることができますので、あれば被疑者も大変助かることでしょう。
一方で、手紙や写真などは証拠隠滅などの危険性があるため、接見禁止中には差し入れすることもできません。
つまり、接見禁止中は面会や手紙によってお互いの状況を連絡する手段は弁護士を介して行ってもらうほかありません。
接見禁止になる理由
このように、接見禁止になるとご家族の方でも接見ができなくなってしまいます。どのような理由で接見禁止になってしまうのかが気になるところですね。
こちらでは、接見禁止処分を受ける理由を解説していきたいと思います。
逮捕後72時間以内は原則として接見できない
まず、逮捕された後は上の図のように決まった流れで刑事手続きが行われていきますが、赤色で塗りつぶしている部分の逮捕から72時間(3日)は接見することができません。
これは以下の接見禁止の理由にかかわらず、どのような被疑者でも接見できません。
逃亡の恐れがある場合
接見禁止処分を受ける大きな要因に、被疑者の逃亡の恐れがあるということがあります。
逮捕時に警察から逃亡していたり、住所不定などで身元がはっきりしていない場合は逃亡の恐れありとして接見禁止になる可能性も高いです。
証拠隠滅の恐れがある場合
また、証拠隠滅の恐れがある場合も接見禁止になる可能性が高いです。
捜査機関が決定的な証拠を確保できていない場合や、被疑者が罪を認めていない場合には証拠隠滅の恐れもあるとして接見禁止処分になる可能性も高いです。
共犯者や組織的犯罪の場合
共犯者がいる事件や組織的犯罪の場合、仲間に逃亡や証拠隠滅の指示を出す危険性も高いため接見禁止になる可能性も高いです。
組織的犯罪は、詐欺事件・薬物事件・暴力団関係の事件などが多いです。
接見禁止の期間と解除されるケース
身近な人が接見禁止になっている方が気になることが「いつまで接見禁止で面会できないだろうか?」ということでしょう。
結論を言うと、事件の内容にもよりますので、何日で接見禁止が解除されるというような決まりはありません。具体的には担当している弁護士や警察などに直接確認するようにしましょう。
一般的には起訴されたら接見禁止が解除されることが多い
ただ、一般的には起訴されるまでの間のみ接見禁止処分になっていることが多いです。
接見禁止を受ける多くの理由が「証拠隠滅の恐れあり」ですが、起訴されたということは大抵が決定的な証拠も出ていて捜査も終了しているような状態です。
ですので、起訴後は仮に証拠隠滅をされても捜査に影響が出ないので接見禁止も解かれるということです。
ただ、あくまでも一般的な話なので、事件や被疑者(被告人)の状態によっては、起訴されて裁判が終了するまで接見禁止になり続けることもあり得ます。
接見禁止が解除されるようなケース
上記でお伝えしたような理由で接見禁止になるのですから、上記のような証拠隠滅や逃走などの心配が無くなれば接見禁止が解かれることになります。
ただ、先ほどもお伝えしたように、証拠隠滅=証拠が出てくるという状況でもありますので、起訴された後のタイミングで接見禁止が解かれることが多いのです。
また、どうしても家族だけでも面会したい場合や不当に接見禁止されているような場合は、以下の方法を取って接見禁止を解除してもらうこともできます。
接見禁止を取り消してもらうための方法
それでは、こちらではどのようにして接見禁止を解除してもらうかをご説明していきたいと思います。
準抗告・抗告
準抗告(抗告)とは、裁判所が決めた内容に不服があった場合に決定した内容の取り消しや変更を請求することです。
裁判所が決めた接見禁止処分に対して準抗告(抗告)を行って解除してもらう方法があります。
ただし、準抗告(抗告)しても認められるのは、上記の接見禁止の理由に当てはまっていないのに接見禁止になっているような場合のみです。
正当な理由があって接見禁止になっているのであれば、準抗告(抗告)を行っても徒労に終わる可能性が高いでしょう。
接見禁止の解除申立て
上記の準抗告(抗告)は、刑事訴訟法で認められている制度ですが、“お願い”のような形で接見禁止を解除してもらう方法もあります。
ただ、何かしらの理由があって接見禁止になっているのでしょうから、条件付きで解除してもらうことがほとんどです。
例えば、事件とは全く関係が無いご家族のみ接見可能にしてもらったり、手紙でのやり取りだけは認めてもらうような内容です。
あくまでもお願いですから、解除申立てに応じるかどうかは裁判官の判断によります。
勾留理由開示請求
直接対面で接見(面会)する方法ではありませんが、勾留理由開示請求を行うことで被疑者の方と顔を合わせる方法があります。
勾留理由開示請求とは、ご家族の方でもできる手続きで、その名の通り勾留されている理由を開示してもらうための手続きです。
この勾留理由の開示は公開の法廷で行われますので、勾留理由開示請求をして法廷にまで足を運べば被疑者と顔を合わせることができるのです。
上記の方法でもどうしても接見禁止が解除されないような場合は、勾留理由開示請求で顔を見ることはできるのです。
接見禁止中も弁護士なら接見できる
最後に、接見禁止中でも唯一被疑者(被告人)と接見することができる、弁護士の接見についてのメリットや費用について触れておきたいと思います。
前向きに接見を弁護士に依頼しようかなという方は、以下の記事も参考にしてみてください。
【関連記事】
「接見・逮捕時の面会を弁護士に依頼する7つのメリット【費用や無料制度も解説】」
弁護士に接見を依頼するメリット
接見禁止でも接見できる
弁護士に依頼するメリットは、やはり接見禁止中であっても関係なく接見ができることです。
ご家族の方が接見禁止になっている状況でも接見できますので、お互いの状況を伝達する役目も果たしてくれます。
特に逮捕されてすぐは状況を知りたいところでしょう。逮捕後72時間は、原則的にどのような方でも接見できませんが、弁護士であればすぐにでも接見できます。
刑事手続きに対する適切なアドバイスをくれる
お互いの状況確認のために弁護士に伝達役になってもらうのも良いですが、やはり逮捕されてしまった方は今後どうなっていくかが不安です。
弁護士であれば当然刑事手続きに精通していますので、今後の大まかな流れや刑事手続きに対する最適なアドバイスを行ってくれます。
逮捕されて右も左も分からない状態の被疑者も、アドバイスによってかなり気持ちは楽になります。弁護士が味方にいてくれるということは大変心強いでしょう。
接見を弁護士に依頼した時の弁護士費用
接見を弁護士に依頼するとなると費用がかかりますが、接見1回あたり1万円~5万円が接見費用の相場となっています。
弁護士事務所によって接見費用は違ってきますし、刑事弁護そのものを依頼する場合は接見費用は無料になったりと料金体系はバラバラです。依頼前には具体的な費用についても確認しておきましょう。
また、以下でご紹介する当番弁護士なら、1度だけ接見費用が無料となります。
接見をお願いできる弁護士の種類
弁護士といってもいくつかの種類があり、選び方や制度の利用によって違った種類の弁護士が接見することになります。
それぞれの特徴についてこちらでご説明していきます。
【関連記事】
「国選弁護人と私選弁護人と当番弁護士の違い」
私選弁護人
私選弁護人は、ご自身でインターネットなどを使い弁護士を探した弁護士のことで、各弁護士事務所が決めた接見費用を支払って接見してもらいます。
おそらくスピード感は一番早く、ご自身で任せられそうな弁護士を選べることがメリットです。
何かを依頼する時にその都度費用はかかりますが、不起訴獲得や被害者との示談など、刑事弁護全般をお願いするのであれば、私選弁護人として依頼することも検討しておきましょう。
当番弁護士
当番弁護士は、逮捕後1度だけ無料で接見してもらえる当番弁護士制度で派遣される弁護士です。
当番になっている弁護士が派遣されてきますので、依頼者が好きな弁護士を選ぶことはできません。
1度だけ無料で接見してもらえるということは大きなメリットですが、刑事弁護を依頼するのであれば結局費用がかかります。
とりあえず接見してもらって状況確認やアドバイスをして欲しいという場合はまずは当番弁護士から弁護士に接見してもらう方法で良いでしょう。
当番弁護士がかなり頼りになって、そのまま他の弁護活動もお願いしたいとなればそのまま依頼することもできます。
国選弁護人
国選弁護人は、勾留後に費用は国負担で弁護士に依頼することができる制度です。
数十万円する弁護士費用を国に負担してもらって弁護士に依頼できることは大きなメリットですが、気になる弁護士を選ぶことはできません。
また、呼べるタイミングが勾留後ということが大きなデメリットで、逮捕から時間が過ぎれば過ぎるほど弁護活動も難しくなり、望まぬ結果になってしまう可能性が高くなります。
いちおう貧困などの理由で弁護士費用が支払われない人のための制度になるので、弁護士費用を払えると判断されてしまえば、国選弁護人が認められない事もあります。
どうしても弁護士費用が支払えないという場合は、国選弁護人という手もありますが、まずは私選弁護人や当番弁護士によってなるべく早くに接見してもらうことがおすすめです。
まとめ
接見禁止とは、逮捕されて身柄拘束されている人と外部の人が接見できなくなる処分です。逃亡や証拠隠滅の恐れがあったり、組織的犯罪に関与している場合は接見禁止を受けやすくなります。
接見禁止処分を受けると、原則的にご家族の方でも接見できなくなりますが、弁護士であれば接見することが可能です。
逮捕されて1人で数日間を過ごすとなるとかなり不安が積み重なってきますし、お互いの状況を把握したいと思う気持ちも強いでしょう。
無料で接見してもらえる制度もありますので、接見禁止でも弁護士にお願いしてお互いの確認をし合ったり、今後のアドバイスをしてもらいましょう。