国選弁護人とは|費用やデメリット・私選弁護人とどっちがよいかを徹底解説

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国選弁護人(こくせんべんごにん)とは、逮捕・勾留された被疑者に私選弁護人がついていない場合に、国が弁護士費用を負担して、国が選任してくれる弁護士のことです。

日本国憲法第37条には、刑事事件の被告人には公平な裁判を受ける権利があると明記されています。国選弁護人はこの被告人の権利を保障する制度です。

国選弁護人は、国の費用で弁護活動をしてくれる弁護士であることをご存知の方もいるのではないでしょうか。

実際にご家族が逮捕・勾留されてしまった場合、国選弁護人でいいのか、私選弁護人を選任すべきかお悩みの方もいるでしょう。あるいは、「今選任されている国選弁護人のままでよいのだろうか…」とお悩みの方もいるかもしれません。

この記事でわかること
  1. 国選弁護人制度の概要
  2. 国選弁護人のメリット・デメリット
  3. 国選弁護人・私選弁護人・当番弁護士の違い
  4. 国選弁護人と私選弁護人どちらを選ぶべきか

これらのことについて解説します。

 

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国選弁護人とは|制度の概要と使いどき

ここでは、国選弁護人制度の概要について解説します。

国選弁護人が選任されるタイミング

国選弁護人が選任されるタイミングは、勾留が決定する逮捕から72時間後です。

刑事事件の流れを説明すると、逮捕直後、被疑者は警察署で取調べを受けます。警察署での取調べは48時間以内と決められており、その後身柄を検察に送致(送検)されます。事件を起訴して刑事裁判にかけるかどうか、判断する権限を持つのは検察官だからです。

検察官は24時間以内に、被疑者を起訴・不起訴・勾留いずれかの処分にすることを判断します。被疑者に逃亡の恐れありなど、要件を満たした場合になされる勾留は、最長で20日間にわたる法的な身柄拘束です

この勾留が決定した後に、国選弁護人が選任されます。

国選弁護人が選任される条件

国選弁護人が選任される条件は、2つあります。

  • 被疑者が勾留されていること
  • 被疑者に私選弁護人がついていないこと

この2つです。

刑事訴訟法第36条には

「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。」

引用元:刑事訴訟法第36条

と明記されており、資産が50万円以下の人しか選任されないと言われています。

しかし、実務上は、どんな事件であろうと、被疑者に資産があろうがなかろうが、勾留されており、私選弁護人が選任されていなければ、裁判所の裁量で国選弁護人を選任してもらえます。

国選弁護人を利用する3つのメリット

ここでは、国選弁護人のメリットについてご紹介します。

原則国が費用を負担してくれる

国選弁護人のメリットであり、大きな特徴は、国が費用を負担してくれる点です。

弁護活動に制限がなく私選弁護人と同じ弁護活動をしてもらえる

国選弁護人のメリットの2つめは、弁護活動に制限がなく、私選弁護人と同じ弁護活動をしてもらえるという点です。通常通り、被害者との示談や、保釈申請、裁判での弁護活動などを行ってもらえます。

弁護士を探す必要がない

国選弁護人は、裁判所が法テラスに登録している弁護士から選任します。そのため、ご家族がどの弁護士がいいのか探す手間はありません。

国選弁護人の5つのデメリット

ここでは、国選弁護人のデメリットについてご紹介します。

選任が遅いために、対応が遅れる

国選弁護人の選任は、勾留後です。逮捕直後に弁護士を呼ぶことができれば、すぐに釈放してもらえたり、勾留されなかったりするケースもあります。

しかし、国選弁護人の選任は、勾留されていることが条件ですので、逮捕直後では呼んでもらうことはできませんし、勾留を回避するのも難しいでしょう。

勾留期間は原則10日間、延長が裁判所に認められればさらに10日間勾留され、社会復帰も難しくなる不利益が生じます。

逮捕・勾留されていない場合選任してもらうことはできない

国選弁護人の選任条件は、お伝えした通り、勾留されて、かつ、私選弁護人が選任されていない場合です。刑事事件には、逮捕・勾留はされずとも、捜査が行われる在宅事件になるケースもあります。

被疑者が逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断されれば、必ずしも逮捕されるわけではありません。

報道用語になりますが、「書類送検」と言えばわかりやすいのではないでしょうか。勾留されない在宅事件では、国選弁護人を選任してもらうことはできません。

刑事事件の実績がある弁護士が選任されるとは限らない

国選弁護人は、裁判所が法テラスに登録している弁護士から、無作為に選任されます。ご家族が直接選ぶことはできませんので、刑事事件の実績がある弁護士が選任されるとは限りません。

経験が乏しかったり、刑事事件や刑事手続きをよくわかっていない弁護士が選任されたりする可能性があります。

刑事弁護では、不起訴処分に有利に働く押さえるべきポイントがあります。そういったポイントがわかっていなければ、起訴されて刑事裁判になってしまったり、執行猶予がつかなったりする可能性もあります。

弁護士を選ぶことができない

上記と同様ですが、国選弁護人はご家族が選ぶことはできません。そのために、能力以外でも、相性の悪い弁護士、やる気が感じられない弁護士に当たる可能性があります。

国選弁護人の報酬は私選弁護人と比較して安価であるために、一部やる気が感じられない弁護士がいるではないかとも言われているようです。

刑事事件の有罪率は統計上99%です。これは検察が有罪にできると判断した事件だけを起訴しているからだと言われています。

つまり、起訴されれば99%の確率で有罪判決が下される可能性があるのです。刑事弁護で重要なのは、裁判以上に起訴されないことです。このように、逮捕された方はもちろん、そのご家族の一生を左右する一大事に、どんな弁護士が選任されるのかは運任せになってしまいます。

費用の負担を求められるケースがある

滅多にないケースではありますが、国選弁護人の弁護士費用の負担を求められるケースもあります。例えば、勾留されていたけど、途中で在宅事件に切り替わった場合や、保釈が認められた場合、執行猶予がついた場合などは、働いて費用を支払うことができると考えられるためです。

請求される国選弁護人の費用は以下の通りです。

請求された場合の国選弁護人の費用
被疑者国選 15~20万円
被告人国選 7~8万円

被疑者国選とは、起訴される前の被疑者についている国選弁護人のことです。被疑者は起訴されると、被告人と呼ばれます。被告人国選とは、起訴後の被告人についている国選弁護人のことです。

上記の中で、裁判官が命じる範囲内で請求される場合があります。もっとも、私選弁護人の弁護士費用が総額で60~100万円になることを考えれば、私選弁護人よりは費用の負担が少なくて済みます。

また、それでも国選弁護人の弁護士費用を負担できない場合は、執行免除の申立を行い、認められれば免除される可能性があります。執行免除は、判決確定後の20日以内に申し立てなければなりませんので、ご注意ください。

国選弁護人と私選弁護人と当番弁護士の違い

ここまでは国選弁護人について解説してきました。気になっているのは、「国選弁護人と私選弁護人ってどう違うのか」「結局どちらを選べばよいのか」ということではないでしょうか。

ここでは、国選弁護人以外の私選弁護人、当番弁護士について解説します。

私選弁護人

私選弁護人とは、逮捕されてしまった人の家族などが直接選んで依頼する弁護士のことです。もちろん費用を負担する必要があります。

専任条件がない

しかし、国選弁護人と違って、選任に条件はありません。逮捕される前から相談することも可能ですし、早い段階で依頼すれば、逮捕や勾留を回避することができる場合もあります。

家族や本人が直接弁護士を選べる

ご家族やご本人が直接弁護士を選ぶことができるので、どんな弁護士が選任されるかわからないといったリスクもありません。また、刑事事件を生業としている私選弁護人なら、刑事事件に精通していることも期待できます。

当番弁護士

当番弁護士とは、逮捕から起訴されるまでに一度だけ無料で呼べて、相談できる弁護士のことです。

当番弁護士は、被疑者が警察にお願いして呼んでもらうこともできますし、逮捕の一報を受けた家族が、お住いの地域の弁護士会に電話して派遣してもらうこともできます。

当番弁護士を呼ぶのにお金はかかりませんが、私選弁護人や国選弁護人のように、刑事事件の弁護を最後まで行うことはできません。当番弁護士にできるのは、接見して被疑者に取調べに関する法的助言と、今後の流れなどを説明することです。

しかし、当番弁護士の活動は非常に重要です。取調べも、弁護士の法的助言がなければ、不利な状況に陥る恐れがあります。弁護士の知り合いでもいない限り、逮捕直後にすぐ私選弁護人を呼ぶことはできない方がほとんどではないでしょうか。

取調べ時に作成される供述調書は、裁判でも重要な証拠として扱われます。記憶違いなどから誤った供述をしてしまった場合、後から取り消すことはできません。刑事事件では、まず弁護士が被疑者と接見することが重要なのです。

また、接見に来た当番弁護士に依頼したいのであれば、費用はかかりますが、私選弁護人として選任することが可能です。

まとめると…

国選弁護人・私選弁護人・当番弁護士をまとめると以下の通りです。

国選弁護人 私選弁護人 当番弁護士
費用 原則不要 必要 不要
弁護活動
  • 刑事事件の弁護活動を依頼できる
  • 在宅事件では選任してもらえない
  • 刑事事件の弁護活動を依頼できる
  • 在宅事件でも依頼可能
  • 取調べや今後の流れに関する助言のみ
  • 在宅事件では呼ぶことができない
選任タイミング 勾留が決定した逮捕から72時間後 逮捕前からいつでも依頼可能 逮捕から起訴されるまでの間
選任する人 裁判官 被疑者のご家族 被疑者・被疑者の家族

 

国選弁護人に依頼する方法

勾留質問時に裁判官に伝える

国選弁護人の選任をお願いする方法は、被疑者が勾留質問時に「国選弁護人を選任してほしい」と裁判官に伝えることです。ご家族が直接依頼することはできません

勾留は法的な身柄拘束ですが、検察が独断で勾留を決定することはできません。裁判所に「勾留請求」という手続きを行い、勾留の許可を得て決定されます。

被疑者にも大きな不利益が生じるため、人権に配慮して行う必要があるからです。

勾留質問

この勾留請求後に、裁判官が被疑者へ、被疑事実について質問をするのが勾留質問です。勾留質問では、被疑者は裁判所で裁判官と会って会話することができます。その際に国選弁護人の選任をお願いすれば、勾留後に国選弁護人が接見に来てくれます。

次項でも解説しますが、国選弁護人は勾留された被疑者に私選弁護人が選任されていない場合に、裁判所の裁量でつけられます。私選弁護人がついていなければ、国選弁護人がつくとの認識で間違いありません。

勾留質問とは
検察が裁判所に「犯罪をした疑いのある被疑者が逃亡の恐れがあるので勾留したい」など勾留請求を行い、裁判所の判断で勾留は法的な身柄拘束ですが、被疑者は社会生活を送ることができないなど、不利益が生じるため、検察は独断で勾留することができません。

勾留は、お伝えした通り、法的な身柄拘束です。被疑者は身柄を拘束され、社会生活を送ることは許されないなど大きな不利益が生じます。そのため、検察には事件を起訴する権限はあっても、被疑者の人権に配慮して行うべき勾留を独断で行うことは許されていません。

勾留に関しては、裁判所に「勾留請求」をして裁判所の許可を得て行います。検察が独断で勾留をすることはできません。勾留は、最長で20日間にわたり、被疑者に大きな不利益となります。勾留中は身柄を拘束され、留置場に留置され、出勤することはできの人権に配慮して行う必要があります。

国選弁護人を変更する方法

国選弁護人の変更を申し出ることは可能です。国選弁護人を選任したのは裁判所ですので、裁判所に上申書などを提出して国選弁護人の解任を申し立てます。ただし、国選弁護人の解任には以下の理由が必要です。

第三十八条の三 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。

一 第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。

二 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。

三 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となつたとき。

四 弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。

五 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。

○2 弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。

○3 弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。

○4 公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三項の規定を準用する。

引用元:刑事訴訟法 第38条の3

例えば、選任された国選弁護人が明らかに接見をしない、保釈申請をしないなど仕事をしないといった場合は、変更が認められる可能性があります。

しかし、単に横柄である、感じが悪いといった理由だけでは認められないでしょう

これ以外ですと、もっと簡単な方法は、ご家族が私選弁護人を選任することです。私選弁護人が選任されれば、国選弁護人は解任されることになります。

国選弁護人と私選弁護人どちらを選ぶべきか

最後に、国選弁護人と私選弁護人、どちらを選ぶべきか、判断する基準をご紹介します。

国選弁護人を選ぶべき人はこんな人

国選弁護人を選ぶべき人は、やはり弁護士費用の負担が難しいとお考えの人です。お伝えした通り、国選弁護人には確かに多くのデメリットがあります。しかし、中には依頼人のために尽力してくれる国選弁護人もいます。

また、国選弁護人に不満があったとしても、しっかりとコミュニケーションを取って、弁護士と一緒に身柄を解放してもらえるよう協力する姿勢も大切です。

私選弁護人を選ぶべきケース

私選弁護人を選ぶべき人は以下に当てはまる方です。

  • どうしても前科や刑罰を回避したい
  • 被害者と示談をしてしっかりと謝罪したい
  • 早期に身柄を解放してほしい
  • 有罪になることで資格をはく奪される職業についている(医師や公務員など)
  • 逮捕・勾留されていないため国選や当番を呼べない
  • ご自身で信頼できる弁護士を選んで依頼したい
  • 以前にも逮捕されたり、起訴されたりしたことがある・再犯の場合
  • 国選弁護人に不満がある

お伝えした通り、国選弁護人でも熱意を持って弁護活動をしている弁護士はたくさんいます。しかし、選任されるタイミングは勾留後です。勾留を回避したいとなれば、すぐにでも依頼できる私選弁護人を選んだほうがよいでしょう。

私選弁護人なら、会社への対応などもお任せすることができます。早期の弁護活動で、勾留されずに済めば、欠勤も3日程度で済むでしょう。

逮捕されるということは、ご家族の今後を左右する一大事です。やはりご自身で、直接面談をして、信頼できる弁護士を選んで依頼したいとお考えの方も、私選弁護人を選任することをおすすめします。

接見 弁護士 アイキャッチ

また、特に私選弁護人を選任したほうがよいと言えるのは、以前も逮捕や起訴されたりしていて再犯に当たる場合です。初犯では執行猶予がついたとしても、再犯では以前よりも重い処分が科される恐れがあります。迷わず私選弁護人を選任したほうがよいでしょう。

「既に国選弁護人が選任されたけど…頼りなくて今後が不安」と感じている方も、ご自身で不安のない信頼できる私選弁護人を選ぶことをおすすめします。

国選弁護人に不安を感じたらまずは私選弁護人に相談

ここまで、国選弁護人と私選弁護人について解説してきました。これらをご覧になっても、「やっぱり国選弁護人は不安かも…」と感じるのであれば、まずは私選弁護人に相談してみることをおすすめします。

刑事手続きは決まった期間内で進行していくため、あまり猶予はありませんが、まず弁護士に相談することから始めてみてください。

今は無料相談を受け付けている弁護士事務所もたくさんあります。まず相談をしてみて、弁護士への不安を払しょくして、よいと思える弁護士に依頼するのも一つの方法です。

まとめ

逮捕は人生の一大事です。国選弁護人は、弁護士費用の負担が難しい方にとっては、心強い味方です。しかし、ご家族が直接選任できる私選弁護人のほうが、弁護士で失敗するリスクは軽減できるでしょう。

「あのとき、私選弁護人に依頼しておけば…」なんてことにならないためにも、可能なら私選弁護人への依頼を検討してみてください。

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