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刑事事件において弁護士は被疑者の唯一の味方

逮捕され、拘留されると、警察や検察からの厳しい追及がなされます。このとき取調室には被疑者がたった一人。毎日精神的に追い込まれるような状況に立たされるケースも少なくありません。つまり、逮捕された被疑者は、弁護士をつけない場合はほとんどのケースで孤独な戦いを強いられます。

緊張状態のなか連日の追及につい『自分がやったかも』と口にしてしまったり、やってもいない余罪の存在を匂わせると罪もどんどん重くなる可能性が高くなってしまいます。そんな状況のなかで唯一、被疑者の味方になれるのが弁護士なのです。

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ストーカーで逮捕される行為と罪名・罰則|逮捕後の流れや対処法も解説

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特定の人物を何度も付きまとったり、執拗に嫌がらせをするストーカー行為。

悪質なストーカー行為では、前触れなしに逮捕されることもありますし、他の刑法にも反して逮捕されることもあります。

今回は、どのようなストーカー行為が逮捕に繋がり、逮捕されたとすればどのような罰則や刑事手続きで身柄拘束などを受けていくのかをご説明していきたいと思います。

 

目次

ストーカーで逮捕される行為8種類と逮捕の可能性

まず、どのような行為がストーカー行為として逮捕されるのでしょうか?ストーカー規制法では、以下の8種類の行為がストーカー行為として定義されています。

これらの行為を繰り返し行い、被害者が警察などに通報することで逮捕に至ることになります。

しかし一方で、以下の行為をしたからといってすぐに逮捕されるというわけでもありません。

ストーカー行為の程度によっては、警察から警告や禁止命令などの対応を取られることもあります。

ストーカー行為で逮捕される可能性についても解説していきたいと思います。

ストーカー行為となる行為8種類

まず、ストーカー行為の定義については、ストーカー規制法=「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の第2条に記載があります。

ストーカー規制法では以下の8つの行為がストーカー行為に該当すると明記されています。

つきまといや待ち伏せなど

一番ストーカー行為としてイメージしやすい行為でしょう。

  • つきまとい
  • 待ち伏せ
  • 押しかけ
  • うろつき(被害者宅の周囲など)

がストーカー行為となります。

監視していると告げる行為

監視していることを告げるような行為もストーカー行為となります。

直接「君のことを見ているよ」と監視を告げなくても、「今、帰ってきたね」などと監視していることが分かるような内容のメールなどを送る行為もストーカー行為です。

面会や交際の要求

被害者の方が会いたくない・交際したくないと拒否しているのにも関わらず、無理に面会や交際を要求する行為もストーカー行為となります。

乱暴な言動

乱暴な言動を取り相手を畏怖させるようであればストーカー行為となる場合があります。

例えば、被害者宅の前で「出てこい!」などと大声で叫ぶ行為などが挙げられます。

連続した電話やSNSへの投稿など

相手が拒否しているにもかかわらず、連続して電話やメール、FAXなどをする行為もストーカー行為となります。

また、近年の法改正でSNSへの執拗な投稿(コメントなど)もストーカー行為に該当する可能性が出てきました。

汚物などの送付

被害者の自宅や職場などに汚物や動物の死骸などを嫌がらせで送る行為もストーカー行為です。

名誉を傷つける行為

例えば、被害者の自宅周辺やインターネット掲示板などで「○○は何度も浮気した」などと、名誉を傷つけるような発言を繰り返した場合もストーカー行為になり得ます。

性的羞恥心の侵害

被害者の裸の写真をばらまいたり、被害者にわいせつな写真などを送りつける行為も性的羞恥心を侵害する行為としてストーカー行為になります。

ストーカー行為で逮捕される可能性と逮捕以外の措置

このような行為を繰り返すことで、ストーカー規制法違反に該当することになりますが、必ずしもすぐに逮捕されるということもありません。

ストーカー行為の程度や回数などによりますが、場合によっては警告や禁止命令を受けるにとどまる場合もあります。

ストーカー事案への対応

参考:「平成29年におけるストーカー事案への対応|警察庁

 

上のグラフは、平成29年のストーカー事案での警察の対応です。

ストーカー規制法違反や他の刑法犯で検挙されることもありますが、半数以上は警告や禁止命令がされていることが見て分かるでしょう。

悪質なストーカーはすぐに逮捕されることも

悪質なストーカー行為であれば被害者からの1度の相談や通報によって逮捕されることもあります。

一概には言えませんが、生命や身体の安全を脅かすような脅迫行為があった場合や、相談前から何度も繰り返しストーカーが行われているような場合は逮捕の可能性も高くなると考えらます。

また、上の図にもあるようにストーカー規制法違反ではない他の犯罪で逮捕される可能性もあります。

例えば、被害者宅に勝手に侵入したり(住居侵入罪)、被害者の腕を掴むような行為(暴行罪や強制わいせつ罪)などがあります。

ストーカー行為に関係した他の犯罪も多くありますので、後述して詳しくご紹介したいと思います。

警告

上の図でもあるように、被害者のストーカー被害申出に対して警告の対応がされることも多いです。

警告そのものに法的効力はありませんのが、警告を無視した場合は以下の禁止命令がされたり、場合によっては逮捕されることにもなります。

禁止命令

ストーカー行為が反復的に行われると判断された場合は、禁止命令が下されることもあります。

その名の通り、上記のストーカー行為を禁止されることですが、禁止命令には法的効力もあります。

禁止命令を受けている状態でさらにストーカー行為を繰り返した場合は、以下でご説明するストーカー規制法違反の罰則も重くなります。

 

ストーカーで逮捕されると何罪?罪名と罰則の重さ

上記のようなストーカー行為を繰り返すことによって、ストーカー規制法違反などで逮捕されることになります。

ただ、上でも少し触れたようにストーカー規制法違反以外で逮捕されることもあります。

ストーカー事案の検挙件数

参考:「平成29年におけるストーカー事案への対応|警察庁

実際には、ストーカー行為に対してストーカー規制法違反での逮捕よりも他の犯罪で逮捕されていることが多いのです。

こちらでは、ストーカー規制法違反で逮捕された時の罰則やストーカー行為に関係した犯罪の種類や刑罰についてご説明していきたいと思います。

ストーカー規制法違反

ストーカーと言えば、まずはストーカー規制法違反で逮捕される可能性が高いのですが、ストーカー規制法違反での罰則は以下の通りです。

ストーカー規制法違反|1年以下の懲役/100万円以下の罰金

ストーカー規制法違反での罰則は1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっています。

禁止命令等に違反してストーカー行為をした者|2年以下の懲役/200万円以下の罰金

上記でお伝えした禁止命令などを受けた状態でさらにストーカー行為を繰り返した場合、罰則も重くなります。

禁止命令に違反してストーカー行為をした場合、2年以下の懲役または200万円以下の罰金となります。

禁止命令等の違反|6ヶ月以下の懲役/50万円以下の罰金

そのほかの禁止命令を守らなかった場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

ストーカー行為に関係して起きる可能性がある犯罪

また、お伝えの通りストーカー行為の中には、そもそも他の犯罪に該当しているような行為があります。

警察庁が発表した、ストーカー事案で検挙数が多かった刑法犯は以下の5つです。

ストーカー事案の検挙件数(刑法犯)

参考:「平成29年におけるストーカー事案への対応|警察庁

それぞれの罪の内容と法定刑を以下で解説します。

傷害罪|15年以下の懲役/50万円以下の罰金

傷害罪は、相手に怪我を負わせる罪で、法定刑は15年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。

ストーカー行為がエスカレートして相手の腕に掴むなどの行為をして、結果的に怪我を負わせたのであれば傷害罪も成立します。

暴行罪|2年以下の懲役/30万円以下の罰金/拘留/科料

相手に怪我を負わせなくても、暴行を加えて時点で暴行罪が成立します。暴行罪の法定刑は2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。

先ほどの被害者の腕を掴む行為ですが、これだけでも暴行罪が成立することがあります。

脅迫罪|2年以下の懲役/30万円以下の罰金

脅迫罪は、相手を脅して畏怖させる犯罪です。法定刑は2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

ストーカー行為の中には、『乱暴な言動』がありましたが、脅迫するような内容があれば脅迫罪にも該当します。

住居侵入罪|3年以下の懲役/10万円以下の罰金

正当な理由なく他人の住居などに侵入する行為は住居侵入罪となります。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金となっています。

被害者宅の敷地内にコッソリ潜んでいれば当然住居侵入罪となりますし、盗聴器や盗撮用カメラなどを設置するための侵入ももちろん罪です。

器物損壊罪|3年以下の懲役/30万円以下の罰金/科料

器物損壊罪は他人の物を損壊する罪で、法定刑は3年以下の懲役または30万円以下の罰金もしくは科料となっています。

被害者の家に侵入する際に何か物を壊した場合や、盗聴器を取り付けるために物の一部を取り除いたような場合に該当します。

また、『汚物などの送付』がストーカー行為にあるとご説明しましたが、例えば汚物をポストに入れる嫌がらせをして、結果的にポストを使えない状態にしたなら器物損壊罪にもなり得ます。

実際にストーカーで逮捕された場合のニュース

それでは、こちらでは実際にストーカー行為が逮捕に繋がったニュースをいくつか挙げてご説明していきたいと思います。

ストーカー行為で3度目の逮捕|禁止命令違反で元交際相手に電話

元交際相手の同じ女性に繰り越しストーカー行為を行ったとして、30歳の男が逮捕されたニュースです。

男は今回の事件で3度目の逮捕となりました。1度目は女性宅への押しかけ、2度目は禁止命令を受けた上で女性に手紙を送ったとして逮捕、そして今回の件が3度目の逮捕です。

今回も禁止命令を受けていたにもかかわらず、女性の職場に2度電話をかけた容疑です。

【参考記事】
同じ女性へのストーカー行為で3度目の逮捕 香川|瀬戸内海放送

待ち伏せや500通のメッセージ|元交際相手へのストーカーで逮捕

こちらも元交際相手の女性の待ち伏せをしたり、約500通のメッセージを一方的に送ったとして25歳の男が逮捕された事件です。

男は過去に元交際相手の女性の待ち伏せをしたとして、警察から警告を受けていました。しかし、警告後も女性に対してLINEを使って一方的にメッセージを送ったとして逮捕に至りました。

【参考記事】
元交際相手に待ち伏せや約500通のメッセージ 高松市|瀬戸内海放送

知人女性の車にブラジャー置く|ストーカー容疑で男逮捕

好意を寄せつ知人の女性の車に、自分で購入した女性用下着などを繰り返し置いたとして会社員の男が逮捕されました。

男は同じ被害女性の車のホイールキャップに火を付けたとして、器物損壊罪で逮捕されていました。その後、女性用下着を置くなどの行為も発覚したため、ストーカー規制法違反で再逮捕された形になります。

【参考記事】
知人女性の車にブラジャー置く 徳島|朝日新聞

タレント中川翔子さんを待ち伏せ|33歳無職男を逮捕

ここまでのニュースでは、元交際相手や知人女性などの顔見知りの犯行でしたが、ストーカー行為は見ず知らずの人から行われることもあります。

特にタレントへのストーカー行為は年に何度か起きており、ニュース性も高いため記憶に残っているという方も多いでしょう。

例として、タレントの中川翔子さんがストーカー被害に遭ったニュースをご紹介します。

見ず知らずの男に「連絡先を教えてください」と、書かれたノートが自宅ポストに投函され、警察に相談。相談を受けたい警察は、男に文書で警告を行いました。

しかし、警告後も男が中川さん宅周辺をうろついていたとして逮捕に至りました。

【参考記事】
「家の鍵なくした」タレント中川翔子さんを待ち伏せ 中野区|産経新聞

 

ストーカーで逮捕された後の流れ

刑事事件 流れ

ストーカーでの逮捕は、ストーカ規制法違反にも他の罪で逮捕される事があるとはお伝えの通りですが、どのような罪で逮捕されたとしても、原則的に上図のような流れと期間で刑事手続きが進められてきます。

警察での取調べ

ストーカーの罪で逮捕されると、まずは警察官からの捜査が行われます。捜査では取調べなどが行われ、48時間までと決められています。

初犯でストーカー行為が軽微なものであれば微罪処分として身柄開放されることもありますが、引き続き捜査が必要であれば、以下の検察へと送検されることになります。

検察への送検と勾留

警察の後は検察へ身柄が移されます。これを送検(送致)と言い、送検後は検察官からの捜査が行われます。

検察での捜査は原則的に送検後24時間と決まっています。もし、さらに身柄拘束や捜査の必要があると判断されれば、検察官が裁判所に対して勾留請求を行い、裁判所から認められると勾留されることになります。

勾留では、原則的に10日間の身柄拘束がされ続けます。この間も取調べなどが行われるでしょう。

10日以降もさらに捜査が必要になれば、勾留延長によって追加で10日間勾留されることもあります。つまり、勾留期間の最長は20日間ということになります。

起訴・不起訴

検察官は捜査の結果、起訴・不起訴の判断を行います。刑事事件では、この起訴・不起訴の分岐点が非常に重要です。

起訴とは、検察官が裁判所に対して「刑事裁判を行ってください」と、訴訟の提起を行うことです。刑事裁判にまで進むと有罪率は99.9%。何かしらの罰則を受けることになるでしょうし、前科も付くことになります。

反対に不起訴とは、起訴されないこと。刑事裁判に進むこともありませんので、それ以上の捜査や身柄拘束も行われず普段の生活に戻されます。前科も付きませんし(前歴は逮捕時に付きます)、刑罰を受けることもありません。

仮にストーカー行為を行っていたとしても不起訴になることはあります。被疑者本人がしっかり反省していたり、被害者がそれ以上の処罰を望まない、再犯の可能性がかなり低いなどの事情があれば、不起訴になることもあるのです。

繰り返しますが、逮捕後は不起訴処分を獲得することが重要になります。このことは以下の対処法で詳しくご説明していきたいと思います。

刑事裁判

起訴後は刑事裁判を受けることになりますが、起訴から刑事裁判までは1~2ヶ月期間が空くことになります(裁判所の込み具合にもよります)。

この間も基本的には身柄拘束を受けることになります。逮捕から数ヶ月間身柄拘束が続けられたとなると、社会的影響も免れないものとなってしまうでしょう…。

起訴後には保釈制度によって、裁判までの間一時的に身柄拘束が説かれる制度もあります。

 

ストーカーで逮捕された後の対処法

それでは最後に、ストーカーで逮捕された時の対処法についてご紹介していきたいと思います。

まずは弁護士に相談

やはり一番は弁護士に相談して具体的なアドバイスをもらうことです。

今回、ストーカーで逮捕された時の基本的なことについてはお伝えしましたが、実際には事件の細かい内容や被害状況、被害者の感情、前科の有無などで具体的な対処法や結果も変わってきます。

弁護士にきちんと相談して、ケースごとの対応を聞くことが一番です。

逮捕後の弁護士の探し方

弁護士を呼ぶことに抵抗があったり、どう呼べば良いのか分からないという方も多いと思いますが、逮捕後であれば「当番弁護士」を1度だけ無料で呼ぶことができます。

当番弁護士から直接アドバイスをもらうこともできますし、インターネットなどで無料相談を受けてくれる弁護士を探して相談してみる方法もあります。

現在では、弁護士を探す手段も増えてきていますので、逮捕されたのであれば、ぜひ一度は弁護士に相談することをおすすめします。

被害者との示談も重要

被害者がいるストーカー事件では、被害者から許してもらう・安心してもらうということが大事になります。

1つは示談金を支払っての謝罪です。示談が成立すれば、被害者もこれ以上の罰則を望まないという話にまとめることもでき、結果的に不起訴処分の大きな理由となります。

ストーカーでの示談金相場は、事件の内容にもよりますので一概には言えませんが、30万円~50万円程度となっています。

示談交渉の注意点

ただ、当然被害者はストーカーの加害者と会ってそのような話をしたくないでしょう。ストーカーでの示談交渉は必ずと言っていいほど弁護士に依頼して行うようにしましょう。

自分で「会って示談しよう」連絡しようとすれば、その行為自体がストーカー行為と判断される可能性もあります。

深い反省と再犯防止

ニュースでも「何度目の逮捕」とあったように、ストーカー事件は再犯も多い犯罪となっています。

再びストーカーをしないと被害者や検察官に分かってもらうことも大事です。ストーカー再犯防止のための手を打つことも1つの対処法です。

ストーカー再犯防止の例

例えば、被害者の家に簡単に近づけ内容に物理的に遠方に引っ越すことも1つの方法です。家族と一緒に暮らしているような場合であれば、逮捕された方の行動パターンをある程度把握し監督してもらうことも対処法です。

再犯防止の手は被疑者によっていくつもありますので、こちらも具体的には弁護士に相談してアドバイスをもらうと良いでしょう。

 

まとめ

ストーカー行為で逮捕されると、ストーカ規制法違反や他の犯罪に問われることになります。

逮捕後は数日から数週間身柄拘束されることになり、身柄拘束が長引けば長引くほど社会的影響も大きくなってくるでしょう。

もしすでにストーカー行為で逮捕された状況であれば、まずは弁護士に相談して、今回ご説明した示談や再犯防止などの具体的な解決策を取っていってください。

いざという時に保存しておくのがオススメ
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