痴漢冤罪での弁護士の役割!依頼した場合の弁護士費用と探し方

痴漢冤罪とは、実際に痴漢をしていないのに逮捕や容疑を疑われて捜査されてしまうことです。

実際にやってもいない痴漢を疑われてしまった場合は、決して認めず徹底的に無実を主張すべきですが、自分ひとりだけで無実を主張してもなかなか捜査機関に認めてもらえなかったり、身柄拘束が長引いて多大なる労力を要します。

そこで、痴漢冤罪に遭ってしまった方はすぐに弁護士を呼び最適な対処法を取っていくことをおすすめします。

今回は、痴漢冤罪で弁護士を呼ぶメリットや重要性と弁護士がやってくれることなどをお伝えしていきたいと思います。

痴漢を疑われてしまった方が、素早いご対応と的確な判断が重要になります。ぜひ参考にしていていただき、少しでも被害を少なく解決していただければと思います。

目次

痴漢冤罪で弁護士を呼ぶメリット

早速、痴漢冤罪に遭った時に弁護士を呼ぶメリットをお伝えしていきたいと思います。

これまでの経験から正しい対応を取ってくれる

「痴漢冤罪」で、インターネットで検索すると、様々な対処法が書かれています。確かに場合によっては対処法としても正しい方法もありますが、状況によっては反対にマイナスの影響を与えることも起こり得ます。

痴漢を疑われる経験など、ほとんどの方が初めてでしょうから、そのような方がインターネットだけで得た情報だけで対処することは危険があります。

例えば、以前は「痴漢を疑われたら逃げろ」などという情報も出回っていましたが、痴漢を疑われて線路に侵入して逃走した結果、痴漢の疑いだけではなく逃走して電車を止めたとして威力業務妨害罪で逮捕されるケースも発生しています。

参考:「女子高生に痴漢、目撃女性にとがめられ線路逃走…|埼玉新聞

痴漢を疑われたらすぐに弁護士を呼んで、状況から正しい対処法を教えてもらうことで、事件をより早く解決させるきっかけにもなるでしょう。

早期の身柄開放に働きかけてくれる

痴漢冤罪ですでに逮捕されてしまっていて、身柄を拘束されてしまっている状況であれば、弁護士が裁判官に対して、早期の身柄開放をするように働きかけてくれます。

逮捕後は決められた期間で刑事手続きが進められていき、起訴・不起訴の判断がされるまで最長で23日間身柄拘束が続くことがあります。

仮に普通に会社勤めをしている方が23日間も身柄拘束されてしまうと、それだけでも社会生活に与える影響は大きいことは簡単に想像が付くでしょう。

無実の罪を主張してくれる

容疑をかけられた方が、ご自身だけで無実の罪を主張していくことはかなり厳しい戦いになります。

身柄拘束も長引きますし、厳しい取調べをされることもあります。その中で、やってもいない罪を認めてしまう被疑者も少なくないことでしょう。

弁護士を付けることで、非常に心強い味方になってくれますし、無実を証明するための証拠集めなどに力を注いでくれます。

繰り返しますが、無実を主張する否認事件は被疑者も厳しい戦いになります。その中で弁護士と言う味方をしっかり付けておきたいところです。

【関連記事】
痴漢で逮捕された時の弁護士の重要性と弁護士選びのポイント

痴漢冤罪で弁護士を呼ぶ以外の対処法

痴漢冤罪で弁護士を呼ぶことで、上記のようなメリットがあります。

しかし、後でご説明する弁護士費用という部分がネックになって依頼を戸惑っている方も多いことでしょう。

こちらでは弁護士に依頼する以外の痴漢冤罪での対処法をお伝えしていきたいと思います。

ただ、結論を言うと弁護士を呼ぶことが最善策で、以下の方法にはデメリットもいくつかありますので、注意して対応していただければと思います。

逃走する|勾留が長引き他の事故に発展することがあるのでおすすめできない

「痴漢を疑われたら走って逃げろ!」

そのような対処法もインターネットではいくつか見受けられました。しかし、いくら痴漢をやっていないからと言って、逃走することはおすすめできません。以下のような理由があるからです。

まず、他の犯罪や事故に発展する可能性があるからです。痴漢冤罪が起きやすい時間帯は通勤時間などの人が多い時間帯の駅。逃走しようにも人を押しのけて逃げなければなりません。そうなると、周りの人を倒して怪我させてしまう(傷害罪)などの他の犯罪にもなります。

一方で、人がいない線路に逃げ込めば、電車を止めることになり、その行為が鉄道会社に対しての威力業務妨害罪にもなります。さらには電車を遅延させたことに対する賠償金請求もあるかもしれません。

ついには、逃走しようとした結果、電車に轢かれて死亡してしまったという事故も起きてしまっています。

参考:「「痴漢」と叫ばれ、線路に逃走して命を落とした男の悲劇…|現代ビジネス

さらに、逮捕されたとすれば、「逃走ようとした」ということで「逃亡のおそれあり」と、身柄拘束の期間が長くなる可能性も出てきてしまいます。

すんなり逃げ切れれば良いのでしょうが、実際はそう簡単に逃げ切れるはずもなく、逃走には多くのリスクがあるということを念頭に置いておきましょう。

会社に連絡する|痴漢冤罪に対して理解ある対応も増えている

会社がどのような反応を示すかが不明確なため確実な対処法とも言えませんが、「痴漢を疑われて身柄拘束されそう」と、早めに会社に連絡を入れておくことも1つの対処法です。

痴漢冤罪で逮捕されてしまえば、その日はおろか数日間身柄拘束が続くことになります。連絡なしで数日も会社に行っていないと、当然心配はされますし迷惑もかけることになってしまいます。

本人と会社との信頼関係にもよりますが、「僕はやっていないのですが痴漢を疑われて…」と、ありのままを伝えれば、会社側も理解を示してくれて、身柄解放された後にもすんなり職場復帰しやすくなります。

自分だけで対処する|拘束が長引くケースも

弁護士を呼ばずに自分だけで対処したいという方もいるでしょうが、身柄拘束も長引くことをある程度承知した上でご自身のみで対応していただければと思います。

痴漢冤罪では、捜査機関からの取調べに対して容疑を否認することになるでしょうが、容疑を否認することで身柄拘束は長くなりやすくなります。

留置場や拘置所などの慣れない施設で数日間過ごし、毎日のように厳しい取調べを受け続けることによって精神的に疲弊して、ついにはやってもいない痴漢の罪を認めてしまうなんてことも起こり得ます。

弁護士をどうしても呼びたくないという方は、そのような事態も十分頭に置いた上で判断していただければと思います。

弁護士費用がどうしても払いたくない(払えない)という方も、1度であれば無料で弁護士を呼べる「当番弁護士制度」がありますので、最低でも当番弁護士制度は使ってみるようにしてみてください。

参考:「当番弁護士連絡先一覧

「やりました」と認めることはNG

たとえ実際には痴漢をやっていなくても、万が一痴漢冤罪で逮捕されてしまったのであれば、捜査機関はやっているということを前提に厳しく取調べが行われてしまいます。

中には「認めてしまった方が早く解放されるのでは…?」と、やってもいない罪を認めてしまう人もいますが、それは御法度です。

痴漢と言うと、被害者の「この人がやりました!」という証言が有力視されそうな気もしますが、近年では痴漢冤罪が度々起きていることもあり、繊維検査やDNA鑑定などの物的証拠を重視するようにもなってきました。

実際に痴漢をしていないのであれば、被害者の衣服から被疑者のDNAが出てくるはずもないので、しっかりと凛とした態度で挑んでいただければと思います。

とは言え上でもお伝えしたように、慣れない刑事施設で数日間拘束されて疲弊している状態だと、判断力や忍耐力も下がってしまいます。

やはり弁護士という味方がいてくれることで大きな力になってくれます。

痴漢冤罪を弁護士に依頼した時の弁護士費用

痴漢冤罪で弁護士を呼ぶことが一番の最善策だということは度々お伝えしていますが、やはり気になることは弁護士に依頼した時の費用ですね。

結論から言うと、容疑を否認している否認事件の弁護士費用は高くなる傾向にあり、総額で100万円前後の弁護士費用がかかることになります。

以下ではそれぞれどのようなことにいくらくらいの費用がかかるのかをお伝えしていきたいと思います。

【関連記事】
痴漢事件の弁護士費用相場と賢く弁護士費用を抑えるコツ

痴漢事件の弁護士費用相場

痴漢事件そのものの弁護士費用は、60万円~100万円程度が相場となっていますが、痴漢冤罪となると相場も100万円程度にまで上がります。

否認事件ということで、拘束期間が長引いたり解決が難しくなってしまうからです。

それぞれかかる費用の内容をお伝えすると以下のようになります。

内容

費用相場

相談料金 1時間5,000円~10,000円
(初回相談料金無料の弁護士事務所もあり)
接見費用 1回1万円~5万円
着手金 30万円前後
成功報酬 30万円前後

相談料金

相談料金は依頼前の弁護士に相談する時の費用です。時間ごとに料金設定しているところが多く、相場としては1時間あたり5,000~10,000円です。

ただ、最近では初回相談料無料など、無料で相談できる弁護士事務所も増えてきています。無料相談を上手に使ってみましょう。

接見費用

接見費用は、逮捕されて身柄拘束されている被疑者に弁護士が面会しに行く時(接見)の費用です。相場は1回あたり1万円~5万円となっています。

接見だけを依頼することもできますし、弁護士事務所によっては着手金を払えば接見費用は着手金に含まれているという場合もあります。

着手金

着手金は弁護士に刑事事件の弁護を依頼した時に発生する費用。弁護士事務所によって違いますが、相場はだいたい30万円前後です。

痴漢冤罪では、無罪を主張することが主な弁護方法になると思いますが、仮に弁護士の力及ばずして無実を証明できなかったとしてもこの着手金は払う必要があります。

成功報酬

成功報酬は、「痴漢冤罪の無実を証明して欲しい」などのある条件を達成した時に追加で弁護士に支払う費用です。一般的な痴漢事件の相場は30万円前後ですが、痴漢冤罪は難易度も上がってくるので、成功報酬の金額が高くなることもあります。

先ほどの着手金の金額は低くて、この成功報酬を高めに設定している弁護士事務所などもありますので、いくつかの弁護士事務所を比較してみるのも良いと思います。

その他費用

以上が基本的な弁護士費用となりますが、弁護士事務所によっては追加で費用がかかる場合があります。

  • 実費:交通費や通信費など弁護活動で実際にかかった費用
  • 日当:弁護士が活動した時間ごとにかかる費用(1万円/1時間:10万円/1日が相場)

後から思った以上の費用がかかってしまわないように、依頼前には必ず料金の確認と見積りをしておくようにしましょう。

冤罪での補償は少ない…|弁護士費用保険も要検討

ここまでサラッと弁護士費用についてお伝えしてきましたが、正直言うとやってもいない痴漢冤罪で弁護士費用を支払うことには納得がいかないですよね。

痴漢冤罪で逮捕されその後無実を証明できたとすれば、なにか補償があるのでしょうか?

刑事補償法の補償制度

一応刑事補償法には拘束されたことに対する精神的・肉体的苦痛の補償として1日あたり1,000円~12,500円の補償制度があります。

(補償の内容)

第四条 抑留又は拘禁による補償においては、前条及び次条第二項に規定する場合を除いては、その日数に応じて、一日千円以上一万二千五百円以下の割合による額の補償金を交付する。懲役、禁錮若しくは拘留の執行又は拘置による補償においても、同様である。

引用:「刑事補償法第4条1項|e-Gov

ただ、これだと身柄拘束されていた日数分しか補償されませんから、とても弁護士費用を補えるようなものではありませんね…。

刑事訴訟法の費用補償

また、刑事訴訟法では、刑事裁判で無罪判決が出れば、かかった費用を補償するというものがあります。

第十六章 費用の補償

第百八十八条の二 無罪の判決が確定したときは、国は、当該事件の被告人であつた者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしないことができる。

引用:「刑事訴訟法188条の2|e-Gov

ただ、こちらも刑事裁判にまで進んだ場合の話です。刑事事件では、裁判前の起訴・不起訴の判断で解決することも多いですし、裁判まで発展すれば期間も1年近くにまで長引くこともあり得ます。いずれにせよ条件が厳しく、被疑者(被告人)の精神的負担も大きくなってしまうのです。

痴漢冤罪の味方【弁護士保険】

すでに痴漢冤罪に遭っている方には時すでに遅しの話なのですが、このような不十分な補償制度を補うために弁護士費用などを負担してくれる弁護士保険なども登場しています。

商品によってそれぞれ違いますが、弁護士費用を上限いくらで補償してくれたり、痴漢冤罪では無料で弁護士を呼ぶことが出来たりと、痴漢冤罪に対する1つの大きな防御策です。

痴漢冤罪が心配でこちらの記事をご覧になっているという方は、弁護士保険も検討してみても良いかと思います。

今まさに痴漢を疑われているときの弁護士の探し方

最後に、今まさに痴漢冤罪に遭っているという方に、弁護士を探す方法についてお伝えしていきたいと思います。

インターネットから探す

今まさに弁護士を探す必要がある緊急性が高い場合は、複数の弁護士事務所を簡単に探せるインターネットを使って探すことがおすすめです。

こうやって「痴漢 弁護士」「痴漢冤罪 弁護士」などで検索すれば、痴漢事件に力を入れている弁護士事務所や痴漢事件が得意な弁護士事務所をいくつか集めたポータルサイトが出てきます。

その中から、なるべく近くて、無料でも相談しやすく、そして以下でお伝えする対応が早い弁護士を探していきましょう。

実際に依頼するとなれば、いくつかの弁護士事務所の料金を比較してみても良いです。

すぐに対応してくれる弁護士を探す

刑事事件ではスピード対応が重要になってきます。

特に痴漢冤罪では対応も難しくなってくるので、弁護士の動きが遅いと失敗に繋がる可能性もあります。

痴漢事件に力を入れている弁護士の中でも、さらに土日対応でさらにはレスポンスが早い(電話などですぐに弁護士に繋がる)弁護士事務所を探しましょう。

まとめ

無実の罪を証明する必要がある痴漢冤罪でこそ、弁護士の力が必要になってきます。

少しでも早く弁護士によって正しい対処法を教えてもらうことで、最善の解決に繋がる可能性も高くなります。

ネックは弁護士費用です。確かに罪を犯してもいないのに弁護士費用を払うことには納得いかないですね…。一応補償制度もありますが、微々たるものです。

費用面も弁護士と相談の上、どこまでやってもらうかを決めていっていただければと思います。

一方で、まだ痴漢冤罪には遭っていないという方は、痴漢冤罪で弁護士を無料で呼べる弁護士保険もあります。転ばぬ先の杖で加入を検討しておいても良いでしょう。

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